菅義偉官房長官は10日、テロ等準備罪を新設した改正組織犯罪処罰法の施行から11日で1年を迎えることに関して次のように述べた。
「処罰法の成立を受け、国際組織犯罪防止条約(TOC条約)を締結した。国際協力を推進するうえで大変重要な意義を持った」
テロ等準備罪は、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(通称「組織的犯罪処罰法」)の改正により、新設されたものだ。
2017年6月15日、自民、公明両党と日本維新の会などの賛成多数で可決・成立した。
同7月11日、テロ等準備罪を新設する改正組織的犯罪処罰法が施行された。
この法律が可決される前、「共謀罪反対」と言って国会前で反対集会が行われていた。
彼らは法案を読み、内容を理解した上で抗議活動をしていたのか、甚だ疑問を感じていた。
テロ等準備罪について、政党や新聞社、各種団体の立場は以下のとおりだった。
賛成
・読売新聞、産経新聞
・有志弁護士グループ
反対
・国際ペンクラブ、日本弁護士連合会、青年法律家協会、自由法曹団など多数
テロ等準備罪の成立には、3つの要件を満たす必要がある。
①「組織的犯罪集団」が関与すること
②犯罪の実行を二人以上で「計画」すること
③計画に基づき「実行準備行為」が行われること
「組織的犯罪集団」とは、テロ組織や薬物密売組織、振り込め詐欺集団などだ。
以下の3つを全て満たす必要がある。
ア 多数人の継続的な集団であること
(ごく少数の人の集まりや、多数でも一時的に集まっただけの場合は該当せず)
イ 犯罪実行部隊のような組織を有していること
(指揮命令に基づき、あらかじめ定められた任務の分担に従って行動する組織)
ウ 重大な犯罪等(目的犯罪)を実行することを目的として集まっていること
(目的犯罪は組織的犯罪処罰法別表第3に個別に列挙されている)
簡単に言えば、今までより、犯罪を犯す前に検挙できる可能がでてきた訳だ。
ただし、テロ等の組織犯罪に限定されている。
テロ等準備罪は、国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約(略称「国際組織犯罪防止条約」)を締約するために必要だった。
国際組織犯罪防止条約とは、組織的な犯罪集団への参加・共謀や犯罪収益の洗浄(マメー・ロンダリング)・司法妨害・腐敗(公務員による汚職)等の処罰、およびそれらへの対処措置などについて定める国際条約だ。
つまり、これらの犯罪に対して、各国で協力しましょうというものだ。
2017年10月現在、署名国は147、締約国は189だ。
締約国どおしでは、逃亡犯の引渡しもスムーズに行えるというメリットもある。
日本の場合、犯罪収益の洗浄(マメー・ロンダリング)への対応が甘い。
条約の締結により、このあたりの法整備が進む可能性がある。
上川陽子法相は6月15日、可決・成立から1年を迎えた「テロ等準備罪」について、同罪での立件件数が0件であることを明らかにしていた。
ちなみに、今日7月11日、法務省刑事局に電話して確認したところ、立件件数は0件のままだった。
テロ等準備罪により捕まる人は、これからもほどんどいないだろう。
ただ、少しだけ犯罪の抑止力はあるかもしれない。
スパイ防止法を新設した方が遥かに犯罪抑止効果は高い。
しかし、現在の政治状況では無理だ。
こんな大して効果もない法律を成立させただけでも、大騒ぎをする連中がいるようでは。
テロ等準備罪が施行され、今日2018年7月11日で1年になりました。
— 素人が新聞記事書いてみた (@np_ama) July 11, 2018
現在まで、この法律により捕まった人間は0です。
この法律が国会で可決した当時、「共謀罪」といって反対派していた人達がいました。
テロ等準備罪は、犯罪をしない国民にとって、危険なものだと思いますか?