16日、ニューヨークのWTI原油先物価格(通称「NY原油」)は63ドル台をつけた。先週末終値の54ドル台後半から一時的に15%以上急騰した。
14日に起きたサウジアラビアの石油施設への攻撃により、市場は過敏に反応した。
現在(同日午前11時15分)の価格は60ドル台前半。
情報元:原油価格(WTI原油先物) 金価格(先物) リアルタイムチャート
WTI原油先物とは、ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)で取引されているWTI(West Texas Intermediate)という米国の原油の先物商品のことである。原油価格を示す最も重要な指数の一つである。
WTIとは、米国のテキサス州とニューメキシコ州を中心に産出される原油の総称である。世界で産出される原油の1~2%。硫黄分が少ないのが特徴で、ガソリンや軽油に多く使用されている。
ドローンの攻撃を受け炎上するサウジアラビアの石油施設、原典:YouTube
サウジアラビア国営通信によると。
14日、サウジアラビア東部にある国営石油会社「サウジアラムコ」の石油施設2カ所が、ドローン10機による攻撃を受け激しく炎上した。
イエメンの反政府武装組織「フーシ派」が犯行声明を出した。サウジアラビアと対立しているイランが支援している組織である。
サウジアラビアのエネルギー相は今回の攻撃により、サウジアラビアの石油生産能力の約半分、一日あたり570万バレル分の生産が停止したことを明らかにした。
これは世界の生産量の約5%に相当する。
情報元:The shadowy forces attacking civilian targets in Saudi Arabia | Arab News
Based on the attack on Saudi Arabia, which may have an impact on oil prices, I have authorized the release of oil from the Strategic Petroleum Reserve, if needed, in a to-be-determined amount....
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) September 15, 2019
サウジアラビアの石油施設が攻撃受けたことにより原油価格に影響がでる場合、米国が備蓄している石油(Strategic Petroleum Reserve)を放出する許可を出したことを明らかにした。
日本は石油のほぼ全てを外国からの輸入に頼っている。うち、サウジアラビアから4割近くを輸入している。次いで多いのは、アラブ首長国連邦(UAE)、カタール、クウェートの順。平成30年(2019年)の日本の中東における石油依存度は90%近い。
原発の再稼働や自衛隊によるシーレーン防衛を考えなくてもいいのか?
必要がないというのなら、実現可能な代替案を示すべきだ。