八ッ場(やんば)ダム(群馬県長野原町)の水位が、令和元年台風19号の大雨により、54メートルも上昇した。今月1日から貯水を始めたばかりだった。
八ッ場ダムがなかったら、群馬県が終わっていたという声もあがっている。
凄い、八ッ場ダム本当にたった1両日中に満タンになってる!!
— 田村吉康 TAMURA Yoshiyasu (@FUDEGAMI) October 13, 2019
つい先日まで空っぽだったのに
この量の水が全て下流に流れてたと思うと恐ろしい、地元に愛され歴史も深かった川原湯温泉は半永久的に水底に沈みましたが今回の台風だけでもどれほどの命が救われたかわかりませんね pic.twitter.com/6s6UsIAoWQ
関東地方整備局によると、八ッ場ダムは令和2年春の本格的な運用を前に、実際に水を貯めてダムの安全性を確認する試験をしていたという。
令和元年台風19号の影響により、長野原観測所では10月11日2時~13日5時の間に累加347ミリメートル降雨を観測した。
この降雨により、ダムは総貯留量約7500万立方メートルを貯め込んだ。
貯水池は518・8メートルから573・2メートルまで、約54メートル水位が上昇した。
情報元:令和元年台風19号における八ッ場ダムの試験湛水状況について | 記者発表 | 国土交通省 関東地方整備局
八ッ場ダム(令和元年10月14日午前10時頃)、原典:八ッ場ダム工事事務所
八ッ場(やんば)ダムは、平成4年に長野原町で、平成7年に吾妻町(現東吾妻町)で建設に係る基本協定が締結され、建設事業が開始された。
平成21年、鳩山内閣の前原国土交通大臣が、突然、八ッ場ダムの建設中止を明言した。これは、地元住民や関係市町村、共同事業者である1都5県の意見を聞くことなく、内閣が一方的に判断したものだった。
平成23年、野田内閣の前田国土交通大臣は、国交省政務三役会議において「八ッ場ダムの建設継続」を決定した。
平成28年からコンクリート打設(固まっていないコンクリートを枠に流しこむこと)を開始し、令和元年6月12日に打設完了式を開催した。
そして、令和元年10月1日から試験のための貯水を初めていた。
八ッ場ダムは政治に翻弄されたダムである。
もし打設完了が遅れていたら...
ダムの目的は、灌漑(かんがい)や上水道供給、工業用水供給、水力発電などの利水だけではない。洪水調節や農地防災、河川維持用水などの治水もある。
つまり、ダムは安全保障上必要なのだ。
この事実を知っていると、ダムが必要か否かの判断も変わってくる。