神奈川歯科大学、鶴見大学、東京医科大学の研究グループは、唾液に抗不安作用(不安や緊張を軽減する作用)があることを発見した。うつ病のような気分障害の患者に処方される抗うつ薬のような効果があるという。
唾液腺は脳に影響を与える臓器であった。
ヒトの唾液腺(①耳下腺、②顎下腺、③舌下腺)、原典:Wikipedia
唾液腺とは、口のなかにあり、動物が唾液を分泌する腺である。
ヒトには、耳下腺(じかせん)、顎下腺(がっかせん)、舌下腺(ぜっかせん)がある。耳下腺が1番大きく、唾液の分泌量も多い。
唾液腺から分泌された唾液には様々な物質が含まれている。
唾液は飲み込まれるが、舌下部から吸収されると肝臓での代謝を受けずに全身に送られる。このため、舌から薬などの物質を吸収した場合、その効果性や即効性は高くなる。
研究グループは、唾液腺から産生される「脳由来神経栄養因子(BDNF)」というタンパク質に注目した。
遺伝子操作により唾液線からBDNFを高発現するマウスを作製した。このマウスは高架式十字迷路とオープンフィールドテストで抗不安行動を示した。
詳しく調べると、唾液腺から高発現したBDNFは、血液に移行し、海馬でのBDNF量を増加させた。これによりグルタミン酸脱炭酸酵素(GAD1)が増加し、さらにγ-アミノ酪酸(GABA)の産生が増加、抗不安行動が生じたことがわかった。
GABAは抑制性の神経伝達物質である。
今回の成果により、唾液腺は脳に影響を与える臓器であるというが実証された。
唾液腺-脳臓器間ネットワークの仕組みを解明することは、脳機能の解明や精神疾患などの病気の治療法に繋がる。
この研究結果は、なんとなくわかる気がする。