ウクライナ危機。
2022年2月15日現在、ロシア連邦(ロシア)とウクライナの国境付近には、10万人規模のロシア兵が集まっている。
数日以内にも、ロシアがウクライナに侵攻するのでは...との憶測もでている。
ウクライナはヨーロッパ東部に位置する共和国。面積は約60万㎢、人口は約4,100万人。
ソビエト社会主義共和国連邦(ソ連)の崩壊に伴い、1991年に誕生した国である。
なぜ、ロシアと揉めているのか?
1945年に第二次世界大戦が終わると、世界はアメリカ合衆国(米国)を盟主とする西側陣営と、ソ連を盟主とする東側陣営との対立構造となった。いわゆる「冷戦」である。
ソ連などの脅威に対抗するため、1949年に設立された軍事同盟が「北大西洋条約機構(NATO)」である。設立時の加盟国は、米国や英国、フランスなど12カ国。
1991年にソ連が崩壊すると、15の独立国が誕生。ロシアは旧ソ連国土の大半を占める国家で、ソ連の後継国と言える。
その他14カ国のほとんどは西側陣営に接近、NATOに加盟した国もある。
これにロシアが強硬に反対している訳だ。ロシアは現在NATOの準加盟国になっているが、西側陣営に対する警戒感をまだ持っている。
北大西洋条約機構(NATO)加盟国の拡大、出典:Wikipedia
ロシアを動きを理解するのに重要なキーワードは「緩衝地帯」と「不凍港」だ。これはソ連にも、その前のロシア帝国にも言えることである。
緩衝地帯とは、大国や大きな政治勢力などに挟まれた地域のこと。地政学で使う用語。
ロシアは世界で最も広い国である。国境線が非常に長いため、全てを守るのは困難。このため、他国より緩衝地帯を重視している。
西側陣営を信用していないロシアにとって、ウクライナは自国と西欧の間にある緩衝地帯である。
不凍港とは、冬季でも海面等が凍らない港、または砕氷船を必要としない港のこと。こちらも地政学で使う用語。
ロシアは2014年より、国際的にウクライナの領土と見なされているクリミア半島を実行支配している(ロシアによるクリミアの併合)。
クリミア半島にはロシアの不凍港「セヴァストポリ」がある。更に、もう一つの黒海の不凍港「ノヴォロシースク」も近くにある。
簡単に言うと、「西側陣営は、勝手に我が国の縄張りに入ってくるな」というのがロシアの言い分である。
今後、ロシアのウクライナ侵攻があるのか、それとも、何事もなかったかのように鎮静化するのか...
クリミア半島に展開する国籍を隠した部隊、出典:Wikipedia
1991年のソ連崩壊時、ウクライナには大量の核兵器があった。
1994年、「ブダペスト覚書」が署名された。ウクライナが持つ核兵器をロシアに引き渡すというもので、その代わりに米国・英国・ロシアが安全保障をウクライナに提供するという内容。米国・英国・ロシアはウクライナの主権や国境を尊重し、武力行使も控えると明記されていた。
しかし...
2014年、ロシアはこの「ブダペスト覚書」を反故にし、ウクライナのクリミア半島に侵攻した。部隊は国籍を隠していたが、ロシア軍である。この侵攻により、約9,940人が死亡し、23,000人以上が負傷した。
ロシアは再び、ウクライナに侵攻するかもしれない。
日本も1945年、旧ソ連により「日ソ中立条約」を反故にされている。
もしロシアがウクライナに侵攻し、米国が毅然とした態度にでなければ、中華人民共和国による海洋進出は加速するだろう。
筆者には「ウクライナ危機は、日本にとって対岸の火事」とは思えない。
考え過ぎだろうか?